第33章

九条遥はコーヒーカップを揺らしながら、「へぇ、江川さんはそんなに正義の味方が好きなんだね。それなら二ノ宮涼介のところへ行ってみないか?ここで言い争っても意味がないでしょう。当事者を交えて話し合った方がいいんじゃない」

江川夕美はもちろん二ノ宮涼介にこのことを言う勇気などなかった。彼女が最近海外に出ていたのも二ノ宮涼介が原因だった。彼女は二ノ宮涼介が自分のことを好きかどうか、心の底ではよく分かっていた。このことで二ノ宮涼介の前でまた恥をかきたくなかった。

九条遥は江川夕美の反応に満足げな様子で、「江川さんがまだ考えがまとまっていないようでしたら、決めてからでも構わないよ」

そう言うと、九...

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